忍者ブログ
pochiの雑記帖です。思いつきで書いたり書かなかったり。
2024-041 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 prev 03 next 05
1025  1024  1023  1022  1021  1020  1019  1018  1017  1016  1015 
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

6話はMAPPA展の先行上映で1日早く観てきておりました。

しんどい回ではありましたが、
突き抜けると逆に落ち着く、みたいな
妙にすっきりした気分です。

来るべきものは来てしまった、
そしてここから本当のスタートだ、というような。

どろろに関するオリジナル部分でかなり納得できた、
というのが大きいかなと思っております。


ちょっとだけ末尾に箇条書きで追記と
本文一部修正いたしました。




 
 
 
 
 
今回はナレーションによる前回のあらすじからスタート。

「百鬼丸は慣れない音のために手傷を負い、
 ミオという少女の世話になる。
 ミオは、戦で行き場を亡くした子供たちと暮らしを立てていた。
 だが、百鬼丸が鬼神との戦いに出かけたその夜…」


「あんなのってねぇよ…」

ミオの「仕事」を目撃してしまったどろろが
フラフラと夜道を帰っていく。

と、地面を見て突然驚いて駆け出す。
道に点々と落ちている血痕に気づいたようで
すぐにあにきを支えて歩く琵琶さんの姿を見つけて駆け寄る。

「あにき?あにき!どうしたんだよ!」
「坊やかい?ちょうどよかった、手を貸して…」

琵琶さんの言葉を皆まで聞かず、あにきの心配をするどろろ。
右足を失っているのに気づき、あにきの足が!と尻もちをついて驚く。
 
そりゃそうだよね、ちぎられてるって感じだもんね。。

「やっぱり手負いじゃ無理があったのさ。鬼神に取られちまった」


は?

「食われた」、ではなく、「取られた」と。


琵琶さんそれは、、あなたはなんというか、
鬼神と人の契約システムをご存じだということ?

苦しそうに呻くあにきの声を聴いて
どろろはあにき、痛ぇのか?と近寄ってから、

「え?今の声…」

と気づく。
 
「ああ。足は取られたが、声は取り戻したらしい」


コレ、実は先行上映を見ただけではよくわからず、
見た後も、妖鳥を倒して声戻ってたけど
あにきが発声してなかったからみんな気づいてなかっただけで
今琵琶さんも気づいたんだよね?違うの?とか思ってました。

しかし本放映日になって公式から妖鳥は鬼神ではない、
とアナウンスがあったので
(さすがにわかりにくいと思ったんでしょうか、、公式イ~^^;)
どうも妖鳥を倒して取り戻したのではなく、
この蟻地獄(蜘蛛じゃなかったよ。蟻地獄だったよやっぱり)が
 声帯を持ってたことが判明いたしました。

つまり。

蟻地獄はあにきの足を奪ったことで
「部位はひとり1個まで」というルールでもあるのか
元から持ってた声は返さなくてはならなくなった、
というようなシステムだということなのかな。

等価交換みたいな。

コメントでこの予想のお話、いただいてたのですが、
なんと。予想大当たりの方、いらっしゃったようで。


そして鬼神て、かなり約定に縛られている存在なのね。

琵琶さんも、よく知ってる、というより
少しこっち方面に詳しいだけ、程度なんだろうなぁ。
あるいは以前に鬼神と契約した、と言う事例に
出くわしてでもいるのか。



押し殺したようなうめき声をあげるあにきを見上げて、

「あにきの、声…」

とどろろがつぶやく。




ここでOP。





しかしね、
食いちぎられるような形で失っても
「奪われた」認識なんですね。

私ちょっとコレどうかなと思うんだけど
まあ公式がそういうんだからそうなんだよね^^;

霊的な力でもって奪った、
という「契約履行」みたいなイメージとはかけ離れて
随分物理的且つ乱暴なやり方なので
約定を重んじる感じとは相反する概念な気がするのですが。

赤ん坊あにきは、一旦普通に生まれたけれども
その直後に雷が落ち、
物理的な力ではなく何か禍々しい力によって、という感じで
部位を奪われたじゃないですか。

あんまり考えたくないですが、
もしあのときに寄ってたかって食いちぎられたりしたら、、、
恐らく生きていることなどできなかったはずでは?

「鬼神が奪う」とは言わば「儀式」的なものと私は思っていたので
こんな形で「食いちぎられ」ても
同じことだとはちょっと思いにくかった。

でもPVからあにきの右脚は戻るとわかっていたので
どうも納得がいかなかったんですよね…

これはどうも、やはり、
わざわざショッキングなシーンの演出を
意図してのものだったような気がしてならない。

実は今回もうひとつ、リアルというよりやや悪趣味だな、
と感じたものがあったので
それについても後で触れますが、
私個人には若干「過ぎる」部分を感じなくもないのは
正直残念なところです。

ほんとうにあの悲惨な時代をリアルに描くということを追求するにあたって
制作側が外せないと思ったのであれば
何も言えませんが。

もちろん、気にならない方もいらっしゃるでしょう。
これはまったく、「私の」感じ方、受け止め方の問題で、
作品そのものの評価に直結するようなことではないとは思っています。

私はそれであっても、この作品は好きなので。
それは再三申し上げてはおきたいです。



さて、OP後。


寺の境内を掃除しているタケ坊。
引きの映像ではわからなかったのですが、
映像がズームしてみると、、

あにきの血痕を消していたことがわかる。
うっ。。


そこへミオが帰ってくる。

急に、痛みに身体を押さえるミオ。
膝には赤い痣があり、手荒な扱いを受けたように見えます。

どうしたんだよ怪我してるじゃねぇか、
と心配するタケ坊に、
たいしたことないよ、ちょっと転んじゃって、と
衿を合わせながらごまかす。

身体もあちこち汚れているような
傷ついているような描写がされています。

何も気づいていないタケ坊は
早く休むように促し、
両方の陣で働くなんて無理なんだって、と言いますが、
ミオが血痕に気づく。



あにきが着物を脱がされて
手当をされて寝かされているところへ
ミオが駆け込んでくる。

あにきの痛ましい様子に何があったの、と聞くミオ。

「命にゃ別状ないよ。まあ、戦うには早すぎたのさ」

命に別状ない、、、そうなの?
この時代の手当で、こんなにすぐに、
足食いちぎられて命に別状ないとかわかるもん?^^;

あ、そうか。普通と違う傷、なのだろうか。
出血が少な目、とか?

つまり、鬼神に奪われたという状態だから、
命に別状はないと、そう言いたいのかしら、琵琶さん。


あにきが止めても聞くわけないと思ったのだろうけど、、
琵琶さんはもう少し強く止めようとかは思わなかったのだろうか。

少し違和感を感じなくもない。
琵琶さんの正体と関わってくるのだろうか。

私はこの人はもとは武家だったような気がしてならない。
いまでこそ歳を重ねて落ち着いて見えるけれど、
若い頃は苛烈な性格も持ち合わせていたように思う。

そもそも原作の彼のほうがもっと飄々として得体が知れず、
かなり傍観的でクールな印象はむしろ強いので
新アニメの琵琶さんは
どちらかと言えば面倒見がより良くて優しいのかもしれないけど。

どこかでやはり、
人のすることに「なるようにしかならぬ」という諦観を
持っているように思う。
こうと決めた信念があるならば、それで外道をゆくも死ぬるも仕方あるまい、
それが人というもの、と思っているような。

いずれにしろ、琵琶さんの語る言葉も彼の考え方であり、
このアニメの答えではないんだろう。

今回は、彼もまた翻弄される当事者。
それは強く感じる。



人のことはいいから早く寝ろ、というタケ坊ですが、
私のほうが慣れてるから、あんたはみんなの食事をね、と
ミオはあにきの看病をしようとする。

腕まくりした拍子に、上腕にもかなり大きな赤い痣が見える。

それに気づいたどろろとミオの眼が一瞬合い、
どろろはたまらず部屋を出てしまう。

琵琶さんも何か気づいたような顔をしてました。

多分、寺を離れていて知らなかったミオの仕事に気づいたのかもしれない。
そしてそれをどろろが知っていることにも。
 
実はこの痣の描写、
もしや梅毒なのでは、と思ってしまいました。
 
あまりにあまりなのでブログの感想で書きます、
とツィで書いたのはこれのことです。
 
まさかそうなのかな、と先行上映見て思ったんですが、
「るろうに剣心 星霜編」で古橋監督が同じ表現をされていたと
フォロワさんにうかがって、やはりそうなのかもと。

どうも悲惨な設定ばかりを提示されているので、
最悪を考える癖がついてしまいました。
 
ミオが手荒にされて傷を負っている、というだけの表現なら
何もここで痣をどろろに見せなくても
どろろと目が合うだけで十分なのに、と思いましたし、

病気のことがあって、ミオは生き急いでしまったのか、
などとも思ったりして。
 

5話で、「私もがんばってみる」と言ったときの彼女は、
種籾の入った袋を握りしめていました。

この6話で、それはいつか彼女が子供たちと持ちたいと言っていた
田んぼのための種籾だとわかりました。

その夢を実現するために、時間があまりないと思っていたのかと。
 
ただ、1400年代だとまだこの病気は
世界的に流行するには早すぎる時期なので
可能性はかなり低そうですし
考えすぎだろうと思います。

この、「悲劇に耐えるための最悪想定という自己防御」は
すっかり新アニメどろろを見るための心構えみたいになってる^^;

呑気に「わーいどろろ再アニメ化だってーーーvvv」
とか言ってた頃が懐かしいですT_T

 
  
 
  
やり場のない怒りを抱えたどろろは
寺の石段の横で大きな石を投げつけている。

どろろの様子を気にしたタケ坊が追いかけてきています。

「どうしたんだよ急に。あにきのそばについてなくていいのか?
 まあ、ミオねえが傍にいれば安心だけどな」

何も知らないタケ坊ですが、どろろは昨夜見たミオの姿が頭を離れない。

「まったく、ミオねえの世話好きにも困ったもんだよ。
 一晩中働いて疲れてるってのに」

「タケ、お前、ねぇちゃんが働いてるとこ、見たことあんのか?」
と聞くどろろに、いつも留守番だ、チビたちだけ残しとけねぇからな、と
答えるタケ坊。
どろろはそうか、と返す。

「しようがねぇよ、
 今はミオねえの稼ぎがなきゃみんな飢え死にするしかねえんだ」
「別にせめちゃいねえよ」
「俺たちさぁ、約束してんだよ、俺たちの田んぼを持つって」
「田んぼ?」

夏は一面青くて、秋には黄金色になる田んぼだ、黄金色だぞ!
それで米が食いきれねぇほどとれるんだ、
と嬉しそうなタケ坊。

自分たちは戦で丸焼けか、日照りでカラカラの田んぼしか知らないが、
ミオねえの子供のころはそうだった、とミオが話してくれた様子を
楽しげに語る。

「いつか、私たちの田んぼを持とうね。
 青くて黄金色で、私たちだけの」

そう語るミオを通して、子供たちはその黄金郷を夢見ていたのですね。

黄金色に輝くそれは、命の、生命力の象徴のように、
ミオ本人とともに
かけがえなく美しく子供たちの心を魅了していたに違いない。

原作で言及される、「幸せの国」が、そこにあるように思えました。


そうなんですよ、原作でも、
百鬼丸はみおと子供たちがいるこの寺にたどり着いて、
自分を受け入れてくれる場所、幸せになれる場所がここだと、
きっと思っていたに違いないのだもの。


ミオは子供たちの母親代わりであり、
夢と希望を持たせてくれる女神だったんですね。

そしてあにきにとっても、まさしくそうなりえたのかもしれないのに。

この時代の不穏さと迫る恐ろしい現実が
 遠からず幸せな夢を壊してしまう。


あまりにも遣り切れない。

ほんとうに、今回の新アニメは
私が従来考えていたよりも
ずっとどろろという物語の残酷さをリアルに提示してきている。

原作にある、一種の御伽語り的な雰囲気を言わば粉砕し、
現代の感覚で再構築し、より現実味を持たせているせいで、
柔らかな明るさはほぼ影を潜めてしまった。
 
でも、これも、どろろなんですよね。
 
違う、とは思えない。違うとは言えない。
 
これもまた、どろろの真実なんですよね。



そしてそう受け入れてしまえたならば。

むしろこの種籾の示唆する物語は、
新アニメが私たちに提示してくれるひとつの救いたりえるのかもしれない。

戦場だった荒野に稲穂の実る黄金の道こそが、
概念ではなく、「現実の重み」をもった、
彼らすべての幸せの国になりえるのかもしれない。

せめてそう思って見ていきたい、と思いました。


突き抜けてしまうと、もう単純なものしか残らないが如くに。




「もう少しすりゃあ俺も働きに行けるし、そしたらミオねえに楽させてやるよ」

タケ坊は健気に明るくそう言い、他の子に呼ばれて駆け出していく。

大丈夫、戦で失くしたぶん、戦から取り戻すだけ。

ミオの言葉を思い出すどろろ。





ここらで一雨きてもらわにゃあ、
まあ、毎年必ず、恵みの雨はあるからなぁ。
ほれ、少し雲が出て来とるが。

と、雨を心待ちにする農民の会話。

鬼神が蟻地獄、ということは、
本来雨は嫌うはず。

するとやはり、ギリギリまで雨は降らせないが、
凶作になるほどにはカラカラにせずに
雨を降らす約束にでもなっている感じなのかな。


一方醍醐の城では、
多宝丸が初陣を願い出ているが、景光は取り合わない。

酒井討伐の援軍にお加えください、
あのような小国、すぐに攻め落として見せましょう、という多宝丸に

戦を侮るな、そのような気構えではまだまだ初陣は早い、と景光。

縫の方にも

「私を戦に出していただけるよう、母上からも父上にお口添えください」

と言い募る多宝丸ですが、
父上がならぬとおっしゃったのでしょう、
ならば私が言おうと同じことです、と母。

「父上は分かっておられぬのです、出陣さえお許しいただければ
 きっと母上にお喜びいただけるような武勲をあげてみせます」

しかし母は武勲など、、と哀しげに首を振る。

「私の武勲など要りませぬか」

多宝丸はそんな母の様子にやはり屈折気味の言葉を。
母上の反応による「自己肯定」を必死に求めているのだなぁ。

「そうではありませぬ」

「いえ、母上はいつもそうです。
 狩りでどれほどの得物を仕留めようと、武術の腕を上げようと、
 母上はお喜びにならない」

「私はただ、戦にまつわるものは好まぬのです…」

俯いて答える母。子を失うかもしれない恐怖が彼女を包む。

「好まぬのは戦ではなく、私でしょう」

「何をそのような!多宝丸、我が子を厭う母がどこに居りましょうや」

慌てる縫の方ですが、
直後、母の表情を見る多宝丸のほうを、彼女は見ていない。
また目を伏せがちに、物思いにふける、いつもどおりの母を発見する息子。

合わぬ視線が、多宝丸を深く傷つけているのがよくわかる。

実際、母親としてはダメダメな反応です。
しかし事情がわかっているこちらには
縫の方が悪いと言い切ることはできず辛いシーンです。

母は哀しみが深すぎて、
夫の業ゆえのこの現実が重すぎて、
愛しているのに多宝丸に向き合い切れていない。

これは多宝丸が気の毒だと思った。


「兵庫、陸奥、速駆けじゃ! 馬を引け!」
「はっ」

多宝丸直属の配下、というか乳兄弟のような側近でしょうか、
ふたりの御庭番のような部下に声をかける。



ふたりの側近と馬を駆る多宝丸。

この側近はオリジナルキャラですね。
映画版の、母・百合の配下の御庭番(男女の双子)が、こんな感じでした。

片方はゴツ目の、年上のような感じですが
もうひとりは線の細い、、女性…ではないか?

若!とその中性的なほうが諌めるように声をかけると

「言いたいことはわかっておる!少し子供じみていたな」

と素直な多宝丸。

多宝丸、随分わかっている。
15歳くらいでこんなに自分をちゃんと客観視できている、
というのもすごいですが、
それを素直に口にできる、信頼できる相手がいる、
というのは驚きでした。

「少し?」
と聞き返す側近。多分陸奥、と言われたほう。

この側近とは、会話から察するにかなり強い絆を持っていそうです。
おそらく乳兄弟のように3人で育ったのかもしれない。

映画では母百合のために二人とも死んでしまいましたが、
このふたりも、
多宝丸のためなら命を投げ出すようなふたりなのでしょう。

景光が吟味して選んだ家柄の、しかるべき家臣の子息なのだな。
後を継ぐ息子のために、彼が用意したものであろうから、
景光は彼なりに息子のことを案じて
より良きように手配をしているということです。

景光は、そもそもが、
現代の価値観でははっきりと間違っているけれども。

この時代の、切羽詰まった武将としては、
残念ながら「らしい判断をした」と言わざるを得ないのかもしれない。


「お方様はお優しい。若にはいつも…」

なだめようとする兵庫に、一度言えばわかる!と反発する多宝丸。

母上が私に冷たかったことなどない。
しかし…

幼少期、母があの首のない慈母観音に祈ってばかりいたことを思い出す。

「母上には、何よりも強く想いを寄せるものがある。
 決して口には出されぬが、何かを隠しておられる。
 母上だけではない、父上も…」

私どもは国ごと小さな礎ひとつの上に立っていることをお忘れなきようにと。

5話で縫の方が景光に言った言葉を聞いていた多宝丸。
多宝丸はどの程度知っているのかな、とあのとき思いましたが、
やはりそれほど詳しくは知らないようです。

でも、自分の前に子がいたのでは、というのは
薄々感じていそうな。



一連のここのシーンで、多宝丸と側近の関係性がよくわかります。

ツィでも書きましたが、今回多宝丸生存説は高確率であり得るなと
6話を見て思いました。

彼には信頼できる部下がいて、
諌言を聞く耳もちゃんと持っている。
一時激高したとしても、軌道修正できる子だと思う。
死に至るほど暴発しないだろうし、させない環境にあると感じる。

あるいは側近ふたりのうち片方は多宝丸の代わりに死ぬかもしれないが
多宝丸自身は片目と部下を失うことで我に返るのでは。

そして、父よりまともな方法で、
全てが終わった後の醍醐領を治めて行けるのでは。

そんなふうに感じました。
それもまた、救いの光明です。




ひぐらしの鳴く夕暮れ。
西日のさす部屋で、まだ出血している右脚を見つめるあにき。
蟻地獄との戦いを思い出している。

悔しい、憎い、そんな思いが募っているのだろうか。

改めて見ると、確かに、
致命傷を負った蟻地獄がとっさにあにきの右脚を食らって生きながらえた、
そんなふうにも見えます。

ほぼ刺し違え、のような。

もう少しだったのに。
何か、あと一手、詰められないか、
そんなふうに考えているようなあにき。


刀で身体を支えて立ち、歩こうとしますが、転んでしまう。

「百鬼丸!」

更に立とうとするあにきを、
駆けこんできたミオが寝かせる。
それを部屋の外から見ているどろろ。

「行ったらダメよ、
 悔しいのは分かるけど、無茶をして死んでしまっては元も子もない。
 あたしもね、少し焦って、無理しちゃって」

あにきアイで、ミオの白い魂が映る。

「バカだね、稼ぐのは簡単じゃないってわかってたのに」

涙を拭うミオ。

「ダメダメ、二度と侍なんかのために泣かないって決めたんだから」

ミオの哀しみを、あにきは魂の揺らぎで理解している。

仕事の話をするときのミオはいつも哀しそう、
そのことにやはり、あにきは気づいている。

「泣いたら負け。
 百鬼丸もね、無理して死んじゃったら負けよ」

ミオは起き上がったあにきがまた壁にもたれて座るのを助ける。

「それより、声が出るようになったんでしょ。すごいじゃない」

しゃべってみて、というミオに、あにきは首を振り、耳をふさいでしまう。
耳に指つっこんでるし。
そこまでイヤか(笑。

「え、うるさいってこと?自分の声が?」

それをミオはすぐに慣れるよ、と笑う。
笑うミオを見て、はっとするどろろ。

「どろろが言ってたよ、今のままじゃ穴倉にこもった獣みたいだって」

まるでどろろが、という言葉に過剰反応してるみたいに
イヤイヤと首を振るあにき。

いやもう、どろろで反応しすぎでは?笑

あにきの対人ゲージがね、

ミオ=大好き
琵琶のおっさん=ちょっとお節介
他の子=普通
どろろ=なんだこいつクソうるさい

みたいになってて笑うわー

でもどろろが一番近い、と思っていそうなのは、なんとなくわかる。

まだあにきはどろろが自分にしてくれてることがどれだけのものか、
よくわかっていないのかもしれない。

どろろが見返りを求めないのはよくわかるけれど、
見ているこちらとしては
いずれはあにきがあにきでなければどろろに与えられないもの、を
どろろに与えてあげて欲しいと思う。

なんとなく放っておけないから、ではなく、
そんなあにきだから一緒にいたいんだ、
とどろろが思うような何か。
それがあの子の救いになるような何か。

私はそれを求めてしまうな。

どろろの過去が語られる「無残帖」以降、
ふたりの関係性がどう変化していくのか、
それを楽しみにしています。




そうだ、唄は?、好きでしょ?と唄いだすミオ。

「私ね、泣きそうになったら唄うの。泣く代わりに、ね」

耳から手を放し、聞き入るあにき。

どろろが覗き込んでいるのに気づき、しーっと、
黙って見ておいで、というように合図する琵琶さん。

琵琶さんアイでは、
あにきのクロームのような白い魂に混ざる赤が
ミオの歌声で浄化されるように消えていくのが見える。

なるほど、そういう。


「行くのかい?」

それに安心しでもしたのか、
琵琶さんが寺を出ていくのを見送るどろろ。

あの姉さんの言う通り、焦らずいくよ、と琵琶さん。


んん?
ちょっとこのセリフ引っかかったんですが。
彼自身も、何かの目的のために焦っていたのか?

えーとつまり、琵琶さんは何か自分も意図があって、
もしや鬼神退治にあにきを利用したいと思っている?

そんなニュアンスを受けたんですが。

蟻地獄のいる土地の話を持ち込んだのも、
性急なあにきを敢えて止めなかったのも、
もしかして自分の思惑もあったから、なの?
考えすぎかもしれないけど、
これはますます琵琶さんの過去と事情が知りたくなってきた。


「鬼神のいる道を迂回すりゃいいことさ、
 どうせ急ぐ旅じゃない」

そりゃもちろんだよ。迂回すりゃいいじゃないですか、最初から。
ただ、その向こうへ行きたいだけならね。
 
「ただ、いくら百鬼丸にそれを説いたって無駄だろうねぇ」

あなたが話持ち込んだんですよ^^;

ただ親切心だけで、
鬼神がいるから、倒して身体取り戻しちゃどうだい、
とでも思ったのだろうか。

まあ、あにきもいずれ、近くの鬼神には気づいただろうけど。

どうして、と聞くどろろに

「赤ん坊がおもちゃを取られたら怒って取り返すだろう?
 それと同じなのさ。
 そのうえ、取られたもんが自分の身体とあっちゃねぇ」

この例えは、どうなんだろう。
あにきは身体を奪われた怒りが原動力で生きている、
と言いたいのだろうか。
 
それはちょっと、、
そこまでそれを意識しているんだろうか。
それが今のあにきのすべてだとは、私は思わないんだけど。
そんな単純なものじゃないでしょう。

本能的に、何故?という、
怒りに似た問いはもっているかもしれないと思うんだけど。

「あの唄を聞いているときは鎮まるようだが」
「鎮まるって?」
「百鬼丸が赤ん坊のときから持っている、鬼神の炎さ。
 身体を奪われたときの残り火、みたいなもんかも知れないがね。
 穴倉から出てきたもんが鬼だった、ってことにならねぇようにしなよ」


嫌なこと言う爺だな!!!

それをどろろにおっかぶせてどうするんだ。
どろろに負わせないでよ(泣。
あにきに言えよ、おっさん。
おっさんが警告するんだろうとは思ってたけどさ。

みんなどろろがいい子過ぎて勘違いしてない?
どろろはまだ、せいぜい11歳くらいの子供なんだよ?
そりゃ、タイトルがどろろたる所以の展開なんだろうけど、
あまりにも重荷じゃないか。

現時点の結論として、
あにきの魂の色に関しても、
私は琵琶さんの言うこともそのまま真実だとは思わない。
彼にしても憶測や主観でものを言っているにすぎないと思う。

彼もまた、物語の当事者であり、
ある一面しか知らない登場人物のひとりなのだろう。



唄う自分を見つめるあにきに、恥じらうミオ。

「そんなに見られると…
 百鬼丸って、人の魂が見えるんでしょ?魂の色が」

私のは、あんまり見ないで、きっとすごく汚れてる、
というミオの頬に、両手で触れるあにき。

あにきなりの、慰めようとする仕草。
そんなことない、大丈夫だよ。


「不思議、この手は嫌じゃない…」

このセリフは切なかった。
やっぱりミオは、男に触れられるのが死ぬほど嫌なんだ、と思った。


恋、なんだと思うよ。
肉体の執着を伴わぬ、純粋な思慕。

母を求めるようなものに近いのかもしれないけど、
それでも傍にいてほしい、好ましい、
という意味ではさしたる差はない。



遠景にどろろがいるのも切なかった。

このときどろろはあにきに恋のような感情を持ってはいないけれど
兄弟のようにとても心配しているのはよくわかる。
まして、今さっき琵琶さんに言われた言葉が突き刺さっているはずで。

ある意味、当の本人よりあにきのことがわかっているのだろう。




場面変わって醍醐の陣。
膠着状態を殿から暗に責められているようで、
武将は焦っており、
奇襲をしかける、酒井の間者には用心しろ、と指示している。

ああやっぱり。
間者という言葉がここで出るということは。
先週思った通り、ミオちゃんが間者と疑われる展開ですね。



寺の石段。
仕事に行くミオが、どろろの前に。

仕事かい?と聞くどろろ。

「そっか、あんた、あたしの仕事…」

ミオも、どろろが知っていることに気づいている。
おいら、わざと覗いたわけじゃ、と言うどろろに

「いいの、私は恥ずかしいとは思ってないから。
 生きていくためだもの」

と言い切る。

あんたが近寄りたくないのは分かる、汚れ仕事だものね。

何も言えず、首をふるどろろ。

それにしても、あんたくらいの歳で、よく私の仕事がわかったね、
と言われて

「おいら、おっかちゃんとずっと旅してて、いろいろ。
 そんとき、どんなに腹が減っても、おっかちゃんが絶対やらなかった仕事だから」

どろろは拳を握りしめながら、初めて自分の過去を語る。

どろろが初めて自分のことを語るのがミオ相手だというのが切ないですね。
今回の寺事件はあにきだけの過去ではなくて、
同時にどろろの過去にもなるんだね。


映画のノベライズで、火袋の死後、
どろろの母が、一緒に逃げていた仲間の女が遊女になって離れていくのを
苦い想いで見送るシーンがあります。
それだけはすまい、と自分は心に決めているというシーンでした。

新アニメではどろろの母がどろろにお前は男として生きるんだ、
と言い聞かせたかどうかはまだわかりません。
身売りだけはするな、と言っていたかどうかも。

少なくともどろろは、
女とわざわざ知られたたくはない、とは思っていそうです。
でもこのミオとの会話は、
あきらかにミオもどろろが女の子と承知の会話だろうと感じます。


偉いおっかちゃんね、と言われて

「だけど、そうやって、おっかちゃんは死んじまった。
 おっかちゃんは偉いけど、生きてるねえちゃんはおなじくらい偉ぇよ」

どろろの足元に涙が落ちる。
どろろの涙は、初めてですよね。
母の生き方も、どろろは肯定している。
それでも生きていてほしかった、その悔しい思いが伝わってくる。


「偉ぇ! 戦で失くしたもん、戦から取り返してやるんだろ?
 どんどんぶんどってやれ!田んぼも畑もぜーんぶ!」

ミオは、どろろが約束の田んぼの話を知っているのだとわかったんですね、

うん、ありがとね。

屈託のない笑顔を見せるミオ。
初めて、寂しそうな微笑でない、ミオの心からの笑顔を見たように思った。

どろろの言葉は、どんなにミオの心をラクにしてくれたことだろう。
何も状況は変わりやしない。
それでも、どれだけ救われたことだろう。

私、ここまでずっと泣かずに見ていたんだけど、
このシーンはたまらなかった。
先行上映の、大勢の人前でしたけど、
どろろが泣いたのをきっかけにどっと泣けてしまった。

どろろはどうしてこんなに光のような子でいられたんだろう?
この子の哀しみを思うと、
どうにも涙が止まりませんでした。

同時に、まだどろろは心を預けることを知らないのだと痛感した。
この子はまだ、心開ける相手がいない。
甘えられる相手を失ったままなんだ。

あにき、早くどろろに「気づいて」くれないか。
お願いだから。




あにき、木で何か作っています。
後でわかりますが、間に合わせの義足だったんですね、コレ。

あにき、メシ、とどろろがご飯を運んでくる。

「さあ、どんどん食べて精つけなよ。
 片脚とられたくらいなんだよ。
 声取り戻したんだから、黙ってねえでしゃべんなよ!
 ほらほら、食べなきゃ出る声も出ないかんな!」

有無を言わさずあにきの口に次々ご飯突っ込むどろろ。
あにき、素直に口開けてんのに
更に無理くり口開かせるトコがまた(笑。

えっ?って顔全然しないあにきに笑ったわ。
何コレ日常なの?
喰わしてもらってるの常に?

私実は12月にこんな絵描いてましたので
(魚をご飯に描きなおしたけど)
個人的にほんとに笑ってしまったわ。




寺の子供たちがこっそり見に来てるのも可愛い^^

どろろがあんまりどんどん突っ込むから
あにきむせちゃってるし。

「水、水、わりぃわりぃ」

こういうしんどい回に、こんなのぶっこんでくるところがね、
公式憎いよね。やられちゃうよね。チクショウ(笑。

「なあ、あにき、あにきは鬼神なんかに負けねぇよな。
 あにきが鬼神なんかになるわけねえよな?」

ああ、このセリフ、ここでだったんですね。

しかし何も答えず、黙々と義足を作りつづけるあにき。

「あにき、そんなことよりどんどん食べてくれよ」


おまえ、コミュ障はわかるけど、、、
どろろにこんだけ世話になってて
ひと言くらいなんか言え。

どろろはお前のお母さんではない!(カイジ風に)

後でほんと、どろろにいっぱい感謝してもらうかんな。
覚えてろよあにき。


あー、でもそしたら今度は迷惑かけられない、お前が危険だとか言って
別れる離れる言いだすんかな。

あにき、、めんどくさい子…。

今回、私やっぱり一度は離れると思うんですよね。


もういいや。
一回離れてみろ。
そんで寂しくなれ。それで気づけ。それでいいやもう。



遠巻きにふたりを見ている子供たち。
この子たちにしても、
全くコミュニケーションのとれないあにきには
ちょっと近寄りがたいのだろうな。


酒井の陣でしょうか(もう家紋調べるのめんどくさくなりました…)
ミオが「仕事」している。
下卑た笑いを浮かべて酒を食らう兵たち。

ミオは唄を唄いながら、
黄金に輝く田んぼで風を受けて立つ自分を夢想している。

この娘の犠牲の上に、
今のどろろや百鬼丸の暮らしも成り立っているという苦しさに
見ているこちらは胸が痛む。

鳥海小説では、あにきに問い詰められて、
どろろははミオの仕事について話してしまうのですが
新アニメでは、知っているのはどろろのみです。

どろろだけがそれを受け止めているという重みが
ほんとうに辛い。
辛くて、そして、どろろが愛おしくなってしまう。





寺の庭で、あにきが子供たちに囲まれ、
自作の義足で立って、剣をふるっている。

すごーい、と感心する子供たち。

少し、彼らとも打ち解けてきたんでしょうか。
子供は敏感だから、
あにきからの拒絶オーラみたいなものを感じなくなったんだね。
あにきもだんだん耳が慣れてきて、
普通にしていられるようになってきたんだろう。

どろろが遠巻きにそれを見ているのが、
なんともオカン的な。

「あたしは仕事行ってくるけど、百鬼丸を行かせちゃだめよ。
 まだ戦いなんて無理だから」
「わかってるって」

ミオ、どろろにだけ「私」じゃなくて「あたし」って言うときあるのね。
事情わかってる女同士の会話、みたいな。

心配そうに気にしながら、仕事に出かけていくミオ。

すげえなぁ、手に仕込んであるのか。
でも俺たちだっていいもん持ってるぜ。

タケ坊が、戦場跡から拾ってきた刀をあにきに見せる。

中でも錆びていなそうなひと振りを、
これなんていいだろう?とあにきに渡す。

あにき、見えてないのがすごくわかるのね、こういうとき。
ちょっと手が泳いでから、その刀を掴みます。

持ち主の思い入れが薄いか、ないものって、多分見えてない。

うん、いいかも、って感じに振ってみるあにき。
何か考えているようです。



歩いているミオを見張っている兵士がいる。
ミオも何か、視線を感じているようではありますが、
通り過ぎてしまう。

間違いないですね。
澪は間者と思われている。
両方の陣に出入りしていたから。




夜、子供たちは寝ていますが、
どろろがふと目覚めるとあにきがいない。

隣に寝ているはずだったのかしらvv

破れ障子の戸口に駆け出し、あにきー!と叫ぶ。

その頃あにきは、やはりあの蟻地獄の穴に来ていた。

ここのシーンの流れ、カッコイイんだよなぁ。
カットの入れ方最高じゃない?

PVにあったシーンですよね。
仕込み刀同時抜きで、穴から出現する蟻地獄に
キッという表情で挑むあにき。

白んできた空は、雨雲が立ち込めてきている。
ひと雨来るぞ、助かった、と喜んでいる領民たち。
約束の雨が降るはずの醍醐領ですが。


寺では、疲れた様子で帰ってきたミオが
百鬼丸が鬼神退治に行っちまった、
どろろが追いかけてった、と聞かされる。

荷物を振り捨てて階段を駆け上るミオの後ろから、
つけてきた兵士たちが…



蟻地獄と戦うあにき。
次第にパラパラと雨が降り出します。

これなぁ。
あにきが蟻地獄倒さなければ
恵みの雨が降りますって、そういうことなんでしょ。。

不幸畳み掛けてくるなぁ。

雨に喜ぶ領民たち。


あにきは再び右脚を蟻地獄に噛まれている。

そこへどろろが追いついて来る。

噛み砕かれた義足からは、
寺で自ら仕込んだと思しき仕込み刀が現れる。

足の刀で蟻地獄を斬り裂くあにき。
作戦勝ちです。

足に仕込み刀…は「どろろ梵」ですね。

あにき、とんでもねぇ跳躍力。
手負いでコレだもんね。
やっばり強さ尋常じゃないよね。

ほんとに前回なぜ無理をした。。
正直やっぱり無駄に痛い思いをしたような気がしてならない。。
インパクトあるシーンのために、な。

あえて意味づけをするとしたなら、
景光との契約で鬼神がもらえるのは
捧げられた赤子の身体の部位一個だけの等価交換、
というシステムを説明してもらえたということだよね。

それはそれで納得しましたけど。
食いちぎられる必要はなかった気がするよやっばり。。



どろろのあにきーーー!という叫びの中、
飛び降りざまに蟻地獄にとどめの一撃。

蟻地獄のやられ方が特撮っぽい。




しかしその頃寺では。

背中を無残に斬り裂かれた子供が倒れる。



醍醐領では雨が止んでしまい、領民たちの落胆する様が描かれる。

あにきが鬼神を倒しても。
周囲では不幸しか起こらないなんて。

降らぬ雨に憤る景光。
地獄堂ではまたひとつ、鬼神像に亀裂が入る。



「まったく、おいらに黙って行くなんてひでぇよ、
 ねぇちゃんも心配してるぞ!
 まあ、足がもどってよかったな」

あにき無反応。。

むしろお前には関係ねぇ、みたいな。


ふと足が止まる。

あにきには火も煙も見えないと思うのだけど、
異変は分かったようです。

どろろが見ると、丘ひとつ向こうの寺が燃えている。

駆け出すふたり。




炎に包まれる寺では、
逃げる無抵抗の子供たちが殺されていく。
眼を覆うような光景です。

「残党がいないか確かめろ!」

「なんだよ、これ…どういうことだよ!」

指示する侍にどろろが食ってかかる。

こいつらの仲間か、という侍の後ろでは

タケ坊とミオの無残な姿が。

「この女は先般、我が陣にいかがわしい商売をしにきたが、
 夕べ酒井の陣に入るのが目撃された。
 密偵の疑いありとして早急に処分されたのじゃ」

つまり、こいつらは醍醐の配下なんですね。

ニヤリ、と笑う侍もいる。

ミオの身体の傷からして、ただ斬られたのではない。
明らかに拷問されている。

こいつらは、楽しんでやったのだ。

「ねぇちゃん、タケ!」

どろろが駆け寄りますが、
侍に捕まり、放り投げられてしまう。

「その取り乱しよう、やはり仲間か!」

どろろを槍で突き刺そうする、その手をあにきが斬り飛ばす。

何が起きているのか、はっきりまだ理解していないあにきですが、
どろろの危険はわかったんだね。

害意のあるものには容赦のないあにき。
彼には社会性による人斬りへの躊躇はないんだ。
効率よく、戦闘力を削ぐ戦い方。

ミオに駆け寄るどろろ。

あにきは侍たちに囲まれる。

「なんだお前!」
「こいつの、手!」

仕込み刀の異様さに気づく侍。

ねえちゃん、ねえちゃん、しっかり、と呼びかけるどろろのほうを見る。

ミオの魂はまだ、白く、存在していました。

まだ、彼女は生きている。

赤い花、摘んで…

涙を流しながら、ミオがかすかに唄う。

泣く代わりに唄うの、と言っていたミオ。
泣いてるじゃない。
それならその唄は、自分のためじゃない。

子供たちのために、彼女は唄っている。
どろろが来ていることに気づいたのなら、
あにきがそこにいることも、わかったのかもしれない。
それなら、あにきのために、唄ったのかもしれない。

ちいさな歌声だったろう。
だからあにきの耳に届くのに、少しだけ、間があった。

それに気づいたとき、あにきの眼が見開かれて。

映像に映りはしなかったけれど、
このときあにきの眼には、
消えゆくミオの魂が見えていたんじゃないかと思う。

ミオが見えなくなってしまうのが、
わかったんだと思う。

だってそれ以外に、彼がミオの死を理解する術がないから。

どろろの叫びの中で、鼓動の音がした。
あにきの、ではないと思うけれど、
どうだったのか。よくわからない。
この一連のシーンを見ていると
心臓も肺(呼吸)もあるようにも見える。

斬れ、という、腕を飛ばされた武将の命令に侍たちが反応するより早く、
あにきの刀が次々に彼らをなで斬りにしていく。

PVで何度も、何度も見ました。
それでも言葉を失ってしまう。
怒りと憎しみに我を忘れた、神速の鬼のような姿。

人だと、わかってたんですね、このとき。

私、PVを見ていたときは、彼らの魂が赤く見えて、
敵と認識して、人ともわからず斬ってしまったのかと思ってた。

そうじゃなかった。
人だとわかっていて、憎くて憎くて斬ってたんだ。

原作だって、人だとわかってて斬ったのはそうだったけれど。

新アニメのあにきの危うげなアイデンティティーを思うと、
この事実はやっぱり、
琵琶さんの案じたように、重い。

人斬りがどうだとか、この時代ですから、
きれいごとなんかどうでもいい。

ただあにきの魂に、これがよくないほうへ作用しているのは間違いないから、
それが見ていて辛いじゃないですか。


穴倉から出てきたもんが鬼だった、なんてことにならねぇようにしなよ。


修羅の如きあにきの様を茫然と見ながら、
琵琶さんの言葉を思い出すどろろの眼に、
ミオが握りしめていた小さな袋が映る。


既に利き腕を失い、戦う力も意志もない侍に、
獣のように叫びながら容赦なく斬りかかろうとするあにきを
どろろが止めに入る。

「やめろあにき、やめてくれ」

どろろを振り払うあにき。
それでも怒りにまかせて、すごい力で跳ね飛ばしたりはしなかった。
ちゃんとどろろは認識できてた。
そこまで意識とんでなかったのはちょっとほっとしたよね。

逃げる侍を追おうとするあにきを
ダメだ、鬼になっちゃだめだ、頼むよあにき、と
必死にすがって止めようとするどろろ。

「あにき、ねえちゃんがもってたんだ」

どろろは泣きながら、ミオがもっていた袋を見せる。

あにきの眼には、袋の中の種籾が、黄金色に輝いて見えていました。
命の源のような種は、
他の何と同じでもない、金色に見えている。
あにきにとって、初めての色なんだろうか。

「種籾だ。ちゃんと、侍から取り戻したんだ。
 田んぼを作るために。
 ねぇちゃんは負けてねえ。あにきも負けねえでくれよ。
 頼むよ…!」

ガクリと膝を折り、座り込むあにきとどろろ。

あにきはミオを抱きしめ、

「み…お…」

焼け落ちる寺で、
うめき声、叫び声以外に、あにきが初めて発した声がそれでした。


ミオを失ったあにきの行動に関しては、
正直なところもうわかっている部分だったので
受け止めるのに苦労はなかったけれど、
どろろがあにきを深淵との境界から連れ戻してくれたことに、
そのどろろの健気さに打たれてしまう。

どうしてこの子はこんな風に振る舞えるのだろう。
歳からはとても想像できない、
この子のこの優しさ、逞しさはどこから来るんだろう。

どろろが平気なわけはないのに。
ほんとうは、この子だって泣きわめいて
我を忘れてしまったっておかしくないのに。

どろろが大人過ぎて、つらい。





ふたりはミオと子供たちを埋葬して弔い、
どろろはミオの持っていた種籾をあにきのお守り袋に入れてやり、
あにきはそれを懐にしまう。

このお守り袋はいずれ身元が知れるきっかけになりそうですが、
その中に入っているもののほうがあにきにとってははるかに価値があるわけで、
紋章のために奪われそうになるときにどんな反応を示すのか
想像できて怖いです。。



それでも、
この辛い出来事の中でも、
ミオの苦しさをどろろが理解してくれたとミオが知ったこと、
それはほんとうにミオにとって救いであったろうことは
見ていてほんのわずかでも癒される瞬間でした。

そして多宝丸が、意外にも心強い人物として描かれそうなこと。
一旦はどん底になるであろう醍醐領にとって、
彼の存在は必ず希望になりえるだろう。

鬼か、人か、揺れるあにきの魂が、
どろろが居れば大丈夫だと、そう思える。

命の象徴であるような種籾、これがどこかで芽吹き、
黄金に輝く田んぼで微笑む彼ら、
それが、叶うなら、届く未来であればいい。
遠いかもしれなけれど、そんな場所まで行けたら、いい。

そういう光明を見出せたところが
こんなに哀しい物語でも、
どこか観終わった後にすっきりさせてもらえた。




赤い花摘んで、あのひとにあげよ。

ミオの歌声の追憶に送られながら、
ふたりで歩き出すどろろとあにき。



序章が終わった、そんな気がする。
ここからが、ほんとうのスタート。

どろろもあにきも、喪失の哀しみを深く抱いたまま、
それを糧にして、その道行きはこれから始まる。

ミオの唄の紡ぐ、黄金の道に繋がっていれば、いいね。









妖怪図鑑は、蟻地獄でした。

鬼神図鑑、て呼んでましたけど、
どうやら鬼神だけではないようなので。

もはやどうでもいいっちゃいいけど、
もしかしてそれじゃ鎌鼬も鬼神じゃなかったの?

アレ倒されてないからまた出るかと思ってたんだけど
鬼神じゃなかったらもう出ないよね。

そして今更だけど
あの3話で右脚もってたエロいヤツは
鬼神なのになぜ図鑑からハブられたんだ。

妖怪図鑑の詳細と
ついでに魂の色判定表も出してください公式。




さて、次回はオリジナルエピソード、「絡新婦」とのことです。

15話で鯖目もやるのに、
異種夫婦譚的なもの、やるんですね。

そして絡新婦の魂の色はそんなに赤くないようだぞ?
すると、何も取り戻さない回かな。

原作でも取り戻さない話あるしね。

さあ、あにきの、どろろへの反応が何か変わってくるか。
なにがしかアウトプットを、少しでもしてくれるのか。

楽しみにしたいと思います。



追記
・心臓の鼓動の音はあにきのじゃなくて
 消えゆくミオの鼓動かもしれないと思ってしまった。。。

・ひとり生かして帰した侍が
 「手が刀になってる鬼小僧」の話を醍醐軍に持ち帰る鬼畜展開絶対ある(死)
PR
NAME
TITLE
COLOR
MAIL
URL
COMMENT
EMOJI
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS
無題
こんばんは、感想アップお疲れ様です。興味深く読ませていただきました。
琵琶法師さんの「あの姉さんの言う通り、焦らずいくよ」に引っ掛かりを感じられた、というのが一度読んだだけではわからなかったのですが(すみません)、焦らず(鬼神やあにきに対する何らかの行動をして)いくよという意味に取られたということでいいのでしょうか……?私は単純に、ミオさんの言う通り死ねば元も子も無いから鬼神は居るが戦には巻き込まれない近道はやめてゆっくり迂回して行くよ、という意味かと思いました。そもそも琵琶法師さんが土地を見つけたのは戦場を避けられる道を探したかったからなので、そうかなと。でも何らかの思惑があっても面白いですね。
キルト EDIT
at : 2019/02/13(Wed) 01:54:42
キルトさんこんばんは!
キルトさんまた来てくださってありがとうございます^^

どうも深読みぐせがついてしまっていて
琵琶丸さんに関しても原作より人物像が明確に描かれるのでは、と思いまして、
寿海パパのこともありますし、
ただのいい人に描かれる気がしないのです。
登場人物すべてが、過去に何か背負っていそうな気がして^^;
制作側の術中にハマっているのは私自身なのかもしれないですね(笑。
何も深い意味のない、素直なセリフだったら笑ってやってください。
今のところ、あにきに対して、というのは戦術上の問題で、
主に鬼神に対して彼は何か因縁があるのではないかとちょっと考えてしまっています。

ほんとに長いもの読んでくださってありがとうございます!
管理人pochi EDIT
at : 2019/02/13(Wed) 02:55:27
無題
こんにちは!twitterではお世話になってます。
いつも感想アップお疲れ様です!楽しみに拝見しております。
琵琶法師のうさん臭さ激しく同意します笑
お坊さんなこともあり達観したところがあるんでしょうけど、鬼神になんらかの縁(因縁?)がありそうな人物に思えてしまいますね・・・。

みおちゃんの梅毒説は正直みおちゃんの運命は決まっているのに追い打ちをかけるような設定するかなぁで認めたくなかったのもあったんですが、
ちょっと調べたところ梅毒の伝来は1500年代らしいです。
なので正直梅毒の可能性は限りなく低く、ただの殴られた痣かなとおもいます。
そういう演出も5話ではありませんでしたしね。
安心してよさそうでした^^
ハナヲ EDIT
at : 2019/02/13(Wed) 10:27:30
ハナヲさんこんにちは!
いつもお世話になっております、こちらまで読んでくださってありがとうございます^^

痣の件、年代からして私も可能性はかなり低いと思ったのですが、
どうも悲惨な設定を畳み掛けてくるのは公式のヤリクチだからな!みたいな気持ちもあって、最悪を想定する癖がついていていけませんね^^;
あまり流布してもいけないので本文修正いたしました。

琵琶さんの胡散臭さは前話あたりから気になり始めましたよね。
これまで彼について背景を描いたものはなかったので、ぜひ新アニメでやってくれないかと期待しています^^

またご意見きかせてくださいね!
管理人pochi EDIT
at : 2019/02/13(Wed) 13:38:01
御返信ありがとうございます
pochiさん、丁寧なお返事ありがとうございます。そしてすみません、本当に琵琶法師さんについての考えが自分の中に全く無くて、「こういうお考えということでいいのかな」とコメントしただけですので、何というか、気になさらないでくださいませ。考えるのも考えないのも考えたくなくても頭に浮かぶのも優劣善悪あることじゃないと思うので、ただpochiさんが楽しめるように願っております……!(勿論楽しめなくても悪いことじゃ無いと思います)
何だか纏まらず凄く謎の文になってしまいました……お目汚し大変失礼いたしました。返信されなくても大丈夫ですので!
キルト EDIT
at : 2019/02/13(Wed) 23:03:32
キルトさんいつもありがとうございます^^
すみません、数日留守にしておりましたので
お返事おそくなりました、ごめんなさい!
お気遣いをいただきましてすみません。
私も主観でほぼ初見の感想を書いているのみですので、これまでの感想をふりかえっても予想はずれもたくさんある状態です(笑。
皆さまのご感想を聞かせていただくのも楽しいので、ぜひまた色々思われたことを書き込んでくださませ。
ありがとうございます^^
管理人pochi EDIT
at : 2019/02/16(Sat) 23:55:58
Calendar
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
Coments
[06/29 pochi(管理人)]
[06/29 おねね]
[06/29 pochi(管理人)]
[06/28 のり]
[06/27 pochi(管理人)]
Track back
Profile
HN:
pochi
性別:
女性
ブログ内検索
Analysis
"pochi" WROTE ALL ARTICLES.
PRODUCED BY SHINOBI.JP @ SAMURAI FACTORY INC.
忍者ブログ [PR]