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pochiの雑記帖です。思いつきで書いたり書かなかったり。
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藤沢周平原作、山田洋次監督の第二弾映画、
2004年公開の「隠し剣 鬼の爪」を観ました。

「たそがれ清兵衛」、「武士の一分」とあわせて藤沢三部作と言われているわけですが、
中でも一番お薦めです、とさる御方から伺っていましたので
楽しみにしていたんです。

原作は「隠し剣シリーズ」から「隠し剣 鬼の爪」と
「隠し剣」シリーズではない別の短編「雪明り」から、となっていましたが
巧い具合に両者融合されていた感じがします。
クレジットにはでていなかったようですが
「隠し剣」シリーズから「邪剣竜尾返し」の剣技も使われていましたですね^^

更に山田監督の好みなのだと思うのですが
幕末の藩事情なども加え、押し付けられる旧来のしきたりに苦しみ、
逆に侍の在り方は変化を求められていくことに戸惑いながらも
侍としてというより人としての道を真っ当していくことを選ぶ主人公に
素直に共感できる作品になっておりました。


いや、よかったです!
「たそがれ清兵衛」よりずっと好き。
切なくもしみじみ心暖まる映画でした。
なんと愛すべき、優しき侍でしょうか…!
映画「たそがれ清兵衛」の清兵衛は
原作と違ってなんとなく卑屈で暗すぎるような感じがして
ラストの余計な悲劇エピソードもより哀れな印象を強くしているせいもあって
正直あまり惚れこめるキャラクターには出来上がっていなかったと思うのですが
「隠し剣」の宗蔵はいい男だった。
ほんとにいいヤツだった;_;

颯爽としているわけでも
自信に満ちていたりするわけでもなんでもないのですが
芯は権力に屈せず、己の限界もわきまえていて
ほんとうに強く優しい立派な漢だなーと。。。
永瀬正敏よかったぞー!

また松たか子がカワイイのですよ!
素朴で愛らしく、健気で…!
「それは旦那さまのご命令でがんすか?」
というセリフが状況は変わりつつも都合3回繰り返されるわけですが
狙ってやったのはアリアリだったけど
松たか子のカワイさでややチープな演出なのも許す、というか(笑。
というよりこのふたりの会話はなんというかもう純愛一直線。
この拙いほどの、中学生かおまえら的なカワイさがもうたまらん!
いろいろ辛い思いも乗り越えてきてる大人なのに
敢えてのこの初々しさは殺人的です…!
ヤラレました。
宗蔵×きえハマりますねコレは。

原作のふたりの展開とラストも大好きなんですが
「雪明り」と混ぜてあるので映画は映画で納得、かなと思います。
映画はきえに手出さないけど(笑)そのほうがいいんだろうこの場合^^

原作の宗蔵は父が切腹して家が格下げになっている設定の映画より背負うものも少なく
幕末の騒乱の前夜、といった世の過渡的な雰囲気もなく
もう少しお気楽、と言ったら語弊がありますがそんな感じの男なので
原作では上意討ちに出発する前夜についにきえに欲情して(笑)結ばれてしまうのですが
あとで実はきえには親の決めた許婚者がいたことがわかって
慌てた宗蔵がそれならなんであのときわしを拒まなかったのだと言うと
きえが涙をこぼしながら「でも旦那さまが好きでしたから」って言うんですよねーv
あのラストは今も藤沢周平神!だと思っているので
あれが再現されなかったのはちょっと残念ではあるんですが(笑
映画のカラー的にはそのあたり「雪明り」の純さにならったほうがよいのかもですね。

キャスティングで気になったのは高島礼子が年増すぎたんじゃないかという(笑
それくらいでしたねー。
「狭間の妻」役にしては落ち着きすぎというか、
もう少し若くでギラギラした色気のある人でもよかったんじゃないだろうかと
ちょっと思いました^^;
他のキャストは皆さん違和感ありませんでした。とてもよかったです。

かつての同門で、
向こうからの一方的なライバル意識が強かったであろう「微妙な友人」、狭間との果し合いも
ほどよいリアルさでよろしかったです。
原作では以前の御前試合で宗蔵が勝ったのは「隠し剣」を使ったからだと狭間は信じていて、
師匠が自分でなくて宗蔵に伝授したことを妬んでいるわけですが、
そのあたりはちょっと変えてありましたね。
狭間に切腹を勧めたり、
ほとんど刀で致命傷を与えた後とはいえ、
狭間が鉄砲隊に撃たれたことを痛み、
「鉄砲などでは死にたくなかろう」と遺体にすがる姿は
志を古き「武士」のままで保つことができなくなってきている時代に
宗蔵が漏らした本音のような気がして切なかった。

そしてちゃんと、「鬼の爪」によって密かに鬱憤を晴らされているのがまた
観ている側にとっては救いになっている。
ラスト、隠し剣を封印し、
しがらみを捨てて素直にきえに求婚する清々しい宗蔵の姿に
等身大の人の優しさ、愛おしさを見る思いです。

藤沢周平らしさを問うならば
「たそがれ清兵衛」よりずっと出ているような気がする。

「たそがれ清兵衛」のふたり、
清兵衛と朋絵になぜあまり感情移入ができなかったのだろうかと考えてみたのですが、
ひとつには清兵衛の感情があまり表現されていなかったからなのだと思います。
彼はほとんど無表情で、
娘ふたりと朋絵が楽しそうにしているシーンは過ぎるほど多かったけれど
彼と朋絵がコドモ抜きにいい感じになってる微笑ましいシーンがないんですよ。
朋絵を女として好き、というのをストレートに表わすのが
果し合いに出かける前のあのシーンだけなんです。

多分ワタシの好みより清兵衛が暗すぎるんだなと思う。
映画としての世間様の評価は「たそがれ清兵衛」のほうがぐーんと上のようですが
ワタシはこの「隠し剣 鬼の爪」のほうが数段好きですね^^

久しぶりに「もう一度しみじみ観たい映画」でした。

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